入居者心理を知れば百戦危うからず! 相手の 心理的欲求 に合わせた最小限の対応でクレーム炎上を回避せよ。
心の裏に潜む「欲求」に注意を払うべし
みなさん、こんにちは!
プロコール24現役オペレーターの「Dすけ(でぃーすけ)」です。
今回もいつもどおり、私たちのミッションである「クライアント様(管理会社様)の賃貸管理業務の効率化」という観点から、管理会社様の「もったいないなぁ! おしいなぁ!」の改善策を考えたいと思います。
今回のテーマは、「入居者を知る」ということです。
うーん、これだけ聞くとけっこう難しい、奥深いテーマに見えると思いますが…、今回も実際にあった事例をもとにご説明いたします!
600円でクレームは解決するのか
だいぶ気温も落ち着いてきたなーと思った昼下がり。
いつものように忙しく電話対応をしていると、管理会社の担当者Aさんから電話が入りました。
「Dすけさん聞いてくださいよ!
先日対応してもらった給湯器不具合のBさんなんですけどね…、無事に修理は完了したんですけど、それでもまだ何か気に食わないらしくて、私のところに直接連絡があったんですよー」
「え? 給湯器、まだ何か不具合があったんですか?」
「いえ、そうではなくて、今度はこちらの対応について蒸し返してきてるんです。修理に時間がかかったせいでこっちは迷惑をこうむったんだから、そのぶん何か誠意を見せろって。そう言うんですよー」
「うわー、「誠意」ですかあ…」
「まあ気持ちは分からないでもないので、補償はしようと思うんです。ほら、民法改正で賃料減額の定めもできちゃいましたでしょう?
金額は、修理に要した期間が1週間なので、家賃の額から考えて600円です。オーナーにあんまり多くは請求できませんし、妥当なところですよね?」
「へ? 600円ですか?」
「ちゃんと計算したんで大丈夫ですよ。というわけでDすけさん、600円でご納得いただけるように、Bさんにうまく言ってもらえませんか? 慣れてらっしゃるでしょう?」
「あ、いや、600円ではちょっと、ご納得いただくのはその、難しいかと…」
「まあまあ大丈夫ですって。とりあえず電話を待ってるって言うんで、とにかくBさんと話してみてくださいよ!」
…Dすけは分かっていました。
誠意を見せろと言う入居者様が、たったの600円で納得されることは決して無いだろうということを…。
それでも、一縷の望みをかけて入居者様に連絡しました。
だってAさん、大丈夫だって言いましたもの。
「お前らなあ、俺のことを馬鹿にしてんのか! ガミガミガミ!」
「オーマイガー!」
案の定、余計に怒らせてしまう結果となりました。
その後、怒りの炎を鎮火するために多くの時間を費やす羽目になったのですが、その詳細は今回は省略させていただきます。トホホ……。
管理会社としてオーナー側に立つのか、入居者側に立つのか
プロコール24は多くの賃貸管理会社様にご利用いただいておりますが、その中でも「管理会社としての立ち位置」は、各社様でけっこう違いが見られます。
とにかく入居者様ファースト!という会社様。
とにかくオーナー様ファースト!という会社様。
基本的にはオーナー様ファーストだけど、入居者様対応をきっちりこなすこと=オーナー様へのサービスと考えているので入居者様対応も手厚く!という会社様…。
それぞれ自社のポリシーに則って業務をされていらっしゃいますし、どれが良い・悪いという話でもないのですが、しかし、先程の「600円」の例のような状況を起こしやすいのは、「とにかくオーナー様ファースト!」という感じの会社様のように感じます。
オーナー様を一番の顧客と考えることは大事です。
しかし、そのために入居者様対応が「ドライ」になりすぎて炎上まで起こってしまっては、結果的にオーナー様に負担をかける事態にもなりかねないのではないでしょうか。
もちろん、入居者様第一!のスタンスに寝返る必要はありませんが、それでも入居者対応に問題があるのであれば、対応の「手法」を見直すことも必要です。
もし、皆さんが、オーナー様の側に立ちつつも、入居者様の満足度の高い対応をしたいとお考えなのであれば、まずは「入居者様の心理」というものを把握することから始めることをお勧めします。
入居者様の抱える2つの欲求を理解する
私たちオペレーターは入居者様からの連絡を受ける際、入居者様が「2つの欲求」を抱えているものと考えて対応業務を行なっています。
2つの欲求の1つ目は、「物理的な欲求」です。
これはシンプルに、「業者手配を早くしてほしい!」「不具合箇所の修繕をしてほしい!」といった欲求のこと。物理的に現在の状況を何とかして欲しいという心理です。
設備不具合で言えば、業者を手配する・修理をすることで解消される欲求ですので、「解決までにものすごい時間がかかってしまった」「対応するのを忘れてしまった」等の不手際がなければ、さほど問題にならないでしょう。
問題になるのはもう一つの「心理的な欲求」です。
これは、不満に思っている自身の気持ちをおさめるために「謝罪してほしい」「自身の気持ちを発散させてほしい」という心理です。物理的な欲求の裏側には、この心理的な欲求がほぼ確実に潜んでいます。
入居者様の中には、物理か心理、どちらか片方の欲求が満たされれば満足という方もいらっしゃいますが、どちらも満たされないことには納得できない! という方もいらっしゃいます。故に、心理的欲求を無視した状態でものごとを進めてしまうと、あらぬタイミングで入居者様が爆発してしまった!なんてことが起こり得ます。
先ほどの「600円」の例でいえば、給湯器の故障を直してほしい!という「物理的欲求」は解消された一方、その修理のやりとりの中で十分な謝罪がなかった、給湯器が故障してどんなに大変だったか分かってもらえなかった、という「心理的欲求の不満」が「誠意を見せろ」という爆発につながったのでしょう。
そして、その心理的欲求の不満に、謝罪などではなく「金銭」で応えたことが、さらなる入居者様の怒りにつながったのです。
つまりポイントは、初期段階で入居者様がどのような欲求を持っているのか正しく判断すること。
そして、2つの欲求をいかにして同時に・上手に解消するかが炎上を防ぐポイントとなるのです。
入居者の心理的欲求を理解する
心理的欲求はさらに6つに分けることができるので、簡単に紹介いたします。
入居者の心理的欲求
①自分の状況をわかってほしい心理
同じ話を何回も繰り返す人は、この心理的欲求を抱えていることが多いです。対応のポイントは、ちゃんと話を聞いてあげること、適度に共感をしてあげることです!
②謝ってほしい心理
これは、誰が悪いわけでもないような状況にもかかわらず、こちらの言葉に全く耳を傾けていただけない方に多いタイプです。こちら側に過失が無いことが明らかでも、まずはご迷惑をかけていることに対して申し訳なく思っているという姿勢を見せるのが消火のポイントです。
③要求を通したい心理
この欲求が強い方は、何の根拠もないような主張をしたり、理不尽な要求をしてきがちです。厄介なことに、頭ごなしに否定すると大炎上するので、ある程度は共感する姿勢を示すことが必要です。ただ、理不尽な主張を全て受け入れる訳にもいかないので、折衷案を探ることがとても大事です!
④とにかく話したい心理
担当者を毎回指名してくる方や、高齢者の方に多いタイプです。好きなだけ話をさせる・話を聞いてあげる姿勢は大事ですが、話が長くなるにつれ、過去のクレームを思い出してヒートアップしてしまう可能性も高まるので、ある程度のところで話を切り上げる必要があります。
⑤自分が正しいと示したい心理
第一声から温度感が高い方や、強めに言い返してくるような方はこのタイプが多いです。たとえ相手(入居者様)が間違っている、ということを証明できる根拠をこちらが持っていたとしても、それを突きつけて勝とうとしてはいけません。謝るべきポイントを見つけて、ときには引き分けに持ち込むほうがベターです。
⑥爆発したい心理
これは電話口で意味もなく叫ぶ方や、怒鳴りつけるような方に多い心理です。最初は淡々と話しをしていますが、あるタイミングを境に、突然発狂したように話される方はこのような心理を秘めています。
この”爆発系”は対応が難しいのですが、まずは入居者の真剣さを感じとると同時に、こちらも真剣に対応しているという姿勢を感じさせることがポイントです。少しでも業務的な対応をしていると思われるとさらに炎上してしまいますので、ひたすら「申し訳ありません」と謝るのもNG。謝るときは何に対して謝罪しているのかを具体的に示しましょう。
しかし、「激怒」は相当の体力を使う感情表現でもあるので、怒っているうちに、だんだんと怒りが収まってくることもしばしばです。
入居者対応を「プロ」に任せる選択肢もハッピー
以上、心理的欲求の6つのタイプについてご説明させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
電話口での対応は「声だけ」だから苦手、という方も多いです。しかし、声だけだからこそ、ちょっとした工夫・テクニックで炎上を避けることもできます。
まずは、こんなタイプの人が存在するということを知り、理解することから始めるのが良いと思います。入居者様のタイプを見極められるようになれば、オーナー様第一! のスタンスの会社でも、最小限の労力で入居者様の炎上を防ぐことが可能になるでしょう。
また、炎上を上手に防ぐ方法として、その道のプロ――たとえば私たちのような――に入居者対応を任せるという選択肢もございます。
プロコール24では、オペレーターが日々研修や勉強会を実施し、色んなタイプの入居者様に対応できるようスキルアップをしておりますので、安心して対応をお任せいただけますよ!
というわけで、数々の苦労の中でクレーム対応のテクニックを学んできた苦労人オペレーターDすけがお送りしました。
そしてDすけは今後も、管理会社様の頼れる右腕として、日々精進してまいります♪
SYSTEM
案件確認システムのご紹介
プロコール24では、対応報告書のダウンロードや
クレーム進捗管理、各種計数の把握等が可能な
独自の入電管理システムをご用意しております。
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