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2022.03.29

【特別インタビュー】適材適所 こそ基本にして究極。社内人材の適切な活用が 企業成長 への近道になる

賃貸業界でも頻繁に話題に上る「人材不足」という課題。 人材難の中で企業が成長していくための方法を、オーナーズエージェントのコンサルタント 萩原耕平さんに聞きました。(インタビュアー:岡部恵子)

  • 萩原 耕平

    オーナーズエージェント株式会社 コンサルタント

    新卒で賃貸不動産業界に入り、仲介・管理の双方の立場を経験。オーナー・管理会社・入居者それぞれの要望を理解し、業務改善・生産性向上等に活かすバランス感覚には定評がある。

賃貸不動産業界は、いまどんな問題を抱えているのですか?

萩原:これは以前からの問題でもありますが、昨今は優秀な人材を組織に留めておくのが難しい、という課題がいっそう鮮明になってきた感覚があります。

例えば賃貸仲介。かつては店舗の立地が集客のカギであったため、駅前の一等地を押さえられる大きな組織に所属することに魅力がありました。しかしWEB集客がメインになった昨今では、(都市部は特に)路面店でなくても集客が可能となったため、優秀な人材がノウハウを学んで早くに独立してしまう傾向が強くなっているようです。加えて、以前ほど若手の頭数をそろえるのも簡単ではなくなりました。

一方の賃貸管理では、長時間労働や対応の煩雑さに若手が疲弊し離職してしまう、という話をよく伺います。こちらは仲介と逆で、ノウハウを学ぶ前に優秀な若手が離脱してしまう形ですね。

もともと不動産業界は「人が辞めやすい」のでしょうか?

萩原:その傾向はあると思います。
厚生労働省の雇用動向調査(平成29年)によると、不動産業界全体の離職率は13.7%とされています。もっと高い率の業界もあるようですし、13.7という数字がものすごく悪いわけではないですが…、現場の感覚からすると、本当の離職率はもう少し高いのでは?と思わされる部分があるのも事実です(笑)

実際に私も、クライアント先で離職の悩みをうかがうのはしょっちゅうですし、久しぶりにクライアントを訪問したら担当の方が離職していた、なんてこともあります。理由はやはり、先ほど挙げた「独立」「離脱」が中心…、いや、大多数は仕事の厳しさからの「離脱」ですよね。

では、そのたびに優秀な人材を求めて採用活動をしなければならない…

萩原:そうですね。ただ、そちらも簡単にいかないようです。
賃貸不動産業界は以前からの「長時間労働」「体育会系」といったブラックなイメージを払しょくしきれていませんし、現実として働き方改革の進んでいない企業も多数あります。これでは、若手に対して良い印象など与えられるはずもありません。

また、そもそも少子高齢化によって若者人口が減少し、例えば20代の数はこの20年で約3分の2にまで落ち込んでいるんです。

昔はよく「若くて明るくて元気ならいい」なんて、採用時の最低条件に挙げられていましたが、今はそれも「贅沢」な要望。まず若い人に会うこと自体が難しい状態なんですから。

優秀な若手の大半は大企業が獲得し、残ったわずかな若手人材を中小企業があの手この手で奪い合う…、中小企業の集まりである賃貸不動産業界においては、新たな働き手の採用は今後ますます困難になっていくのではないかと思います。

賃貸管理の現場における年間の動向

人材の確保が難しいと、賃貸管理会社にはどんなデメリットがあるのでしょうか?

萩原:今は賃貸管理ビジネスのニーズが堅調で、オーナー様から新規や乗り換えなどの管理依頼はむしろ増え続けている状態です。しかし人的な不安を抱えている企業には、こういった好機に業務拡大を図ることが難しくなるでしょう。

また、現状の不十分な労働状況・人材リソースで拡大路線を取ると、いま居る社員に過度の負荷がかかり、離職が増える可能性が出てきます。良くも悪くも、オーナー様との関係や培ってきたノウハウが「人」に属している管理会社は多いはずです。優秀な古参スタッフの離職を契機に、今の業務そのものが立ち行かなくなる……そんなリスクが拡大していく恐れがあります。

もちろん、現状の労働条件がすでに十分に厳しいものであれば、スタッフ離職の危機は常に、いつでもそこにある状態と言えます。管理業は売るだけ・買うだけといった単純な構造でないために、どうしても手間のかかる・体力勝負な案件も増えがちです。管理会社は長期的なスパンで人材難の問題に取り組んでいく必要があるのではないかと考えます。

「人材難」に向き合うために、企業はどうすればよいのでしょうか?

萩原:採用が難しいなら、まず考えるべきは「今いる社員を大切にして力を発揮してもらう」ことでしょう。業務をよく知る社員が長く働けるような体制を作れれば、賃貸管理のノウハウが社内に蓄積され、企業としてのサービス品質も上がっていきます。
社員の成長を停滞させているかもしれない業務内容や待遇を見直し、社員が前向きに仕事に取り組み結果を出せるように変えていく。言葉にすると漠然としていますが、それは大きな効果に繋がる可能性があります。

ご提案できる一例としては、「業務内容の再構築/選択と集中」があります。
ご存じの通り、管理業務の領域は新規管理受託からリーシング、入居者対応、物件修繕、出納、オーナー訪問…と多岐にわたります。社員は一日中「何かしらの業務」に追われ、新しいことを始める余裕を持ちにくい状況です。それこそ、自分自身の労働環境をもっとよくする、という発想に至らないほどです。

しかし、それでは現状維持で精一杯。個人としても組織としても、今以上の成果を出したいなら、より生産性の高い業務に集中しなくてはなりません。
例えば、新規管理受託やコンサルティングは社員の力量が問われ、利益を多く生み出す業務です。こうした業務を優先的に進めてほしければ、清掃業務や入居者対応など、重要ではあるものの受け身になりがちで利益を生み出さない業務については「社員のリソースを使わない方法」も検討しなければなりません。

社員を使わずに管理業務が回りますか?

萩原:回ります。むしろ日本の管理会社は、アメリカ等と比べると、なんでも自分たちでやってしまいがち、なんだそうですよ。

例えば、物件清掃や草むしりをシルバー人材センターや専門業者に任せることもできますし、入居者対応をコールセンターに委託するというのもひとつの手です。契約書作成などの事務を請け負ってくれる会社もありますし、物件の空き確認を請け負ってくれるシステムや専用コールセンターも一般的になってきました。
賃貸管理は業務が多岐にわたるからこそ、そのうちのひとつを切り出して誰かに任せることも可能なビジネスです。誰かに仕事を任せられれば、社員には時間的なゆとりが生まれ、その時間を優先的な業務や学び、教育、そして新たな挑戦にも使えるようになります。

また、アウトソーシングは社員のメンタルを守る手段としても有効だと思います。例えば入居者対応はダメージを受けることも多い業務で、これが負担になって離職する方も少なくありません。
心の負担を軽減することで、別の業務に気持ちよく向かえるようになった。そんなお話もよく伺います。「優先的ではない業務」を他者に任せることで、利益につながる時間を創出し、よく離職の理由に挙げられる「長時間労働」「対人関係」「成長感のなさ」の問題を多少なりとも解消できると考えています。

アウトソーシング一つでも、さまざまな効果が期待できるのですね。

萩原:今働いている社員が力を発揮し続けてくれれば、オーナー様の信頼や社内のノウハウも溜まっていきますし、新しいチャレンジもできる。こんなに素晴らしいことはありません。

もちろん、組織の維持・拡大を目指す以上、採用への取り組みは継続していく必要がありますが、「人がどんどん辞める企業の採用」と「人の辞めにくい企業の採用」とでは、手間もコストも難易度も、どれも桁違いだということは想像に難くないでしょう。

人がやめていかない、社内に財産が残るような組織をつくるには、まずは何から手を付けるべきか。迷われている方はぜひご相談いただきたいですね。私たちがきっとお力になれると考えています。

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