入居者トラブルを円滑に解決!プロコール24的ヒアリングテクニック
ヒアリングの大切さとテクニカルな会話術
なかなか梅雨が明けなかった初夏のある日、プロコール24に一本の電話が入りました。
「なんだかエアコンの調子が悪くって」
……夏だ。
この仕事をしていると、エアコンの不具合報告で夏や冬の訪れを感じます。(あれ? 職業病かな?)
さて、一言にエアコンの調子が悪いといっても、症状によって手配先は変わります。
迅速な対応を目指すのであれば、入居者様から的確な情報を得ることがとても重要。
今回はエアコン故障のヒアリングのコツを、敏腕オペレーター(自称)A子がご紹介します。
ヒアリングテクニック~エアコン故障編~
ではさっそく、今回の電話対応について一通り見ていきましょう!
~以下、入居者様とA子のやりとり~
入居者様:なんだかエアコンの調子が悪くって。壊れちゃったみたいなんですけど。
―― ご不便をおかけして申し訳ございません。では、もう少しお話をお伺いできますでしょうか?
入居者様:ムシムシしてきたからエアコンをつけたんですけど、すぐに止まっちゃうんです…。これから夏になってエアコンを使い始める前になんとかしたいのですが…
――さようですか。では…
天の声:ここで、A子のテクニック炸裂!
――修理業者を手配しますので、手配にあたって何点か教えてください。 ※1
不具合が出ているのはどちらのお部屋のエアコンですか? ※2
入居者様:寝室で使用している南側の6畳洋室です。
――エアコンからは風は出るのでしょうか? ※3
入居者様:いいえ、出ません。
――リモコンで電源を入れると、ピッと音はしますか? ※4
入居者様:しますね。
――ありがとうございます。もしかすると、今からご案内することをお試しいただければ風が出るようになるかもしれません。ご協力をお願いできますでしょうか。 ※5
入居者様:わかりました。
――では、電源リセット作業をお願いします。
エアコン本体のプラグを抜き挿しするか、ブレーカーの入り切りでリセット可能です。プラグを抜いて10秒待ってから、再度挿し直してください。または、玄関や台所・脱衣所にあるブレーカーの上げ下げ、いずれかのやりやすい方法でお試しください。
入居者様:わかりました。今試してみますね。…できました。
――ご協力ありがとうございます。ではエアコンの電源を入れてください。
入居者様:……っ! 直ったみたいです! お騒がせしました。ありがとうございました。
――また何か不具合が起こるようでしたらご連絡ください(にこり)。
天の声:これにて一件落着なのであった。
ヒアリングのポイント解説
こうして1件、電話のみでエアコン不具合を解決したわけですが、今回の電話で入居者様へ投げかけたいくつかの質問、すべてに意味がありました。その意図を解説します。
隠された意図を持つ5つの質問
-
※1
「修理業者を手配しますので、手配にあたって何点か教えてください」
-
※2
「不具合が出ているのはどちらのお部屋のエアコンですか?」
-
※3
「エアコンからは風は出るのでしょうか?」
-
※4
「リモコンで電源を入れると、ピッと音はしますか?」
-
※5
「もしかすると、今からご案内することをお試しいただければ風が出るようになるかもしれません。ご協力をお願いできますでしょうか」
※1「修理業者を手配しますので、手配にあたって何点か教えてください」
聞きたいことだけを聞けたらいいのですが、なかなかそうはいかないのでワンクッションを。
いきなり顔も見えない人に質問攻めにされると不快になってしまいますし、故障の訴えに応じてもらえないのでは? という不安も生まれます。
その一方で、管理会社としては業者手配の必要があるかを見極めたいところ。なので、「業者の手配にあたり何点か教えてください」とさりげない一言挟むことで安心感を与えます。
※2「不具合が出ているのはどちらのお部屋のエアコンですか?」
この質問にもある意図が隠されています。おわかりでしょうか?
どこの部屋のエアコンかを確認することで、管理会社が業者手配を請け負う必要があるのかを確認していたのです。
キーワードは…、「残置物」。
不調のエアコンは前入居者の残置物で、管理会社で手配する必要はなかった!といった事態を防ぎます。
※3「エアコンからは風は出るのでしょうか?」
「風は出るけど冷たい風が出ない」なのか、はたまた「風すら出ない」なのか。
仮に前者であれば、入居者様の清掃不足でフィルターが詰まっている可能性や、冷却用ガスの「ガス漏れ」の可能性が。後者であれば、単にリモコンの電池切れで電源が入っていないことや、リモコンから指示を受ける本体受光部の不具合などが考えられます。
質問一つである程度可能性を特定できるのです。
※4「リモコンで電源を入れると、ピッと音はしますか?」
※3と重なる部分がありますが、ここでもうっかりさん診断が可能です。
もし、音が何も鳴らないのであれば、電源が入っていないことがわかります。単なるリモコンの電池切れ、何らかの原因でコンセントが抜けていただけ、などの原因をこの質問で判断できるのです。
※5「もしかすると、今からご案内することをお試しいただければ風が出るようになるかもしれません。ご協力をお願いできますでしょうか」
入居者様にとっても業者の来訪日時に合わせて予定を空け、対応するのはやっぱり手間。早く直せる・今すぐ直せるならそれに越したことはありません。
非協力的な入居者様に対しても「いますぐ解決するかもしれない」と伝えることで、協力いただける可能性はグンと高まるのです。
いかがでしたか?
こうして振り返ってみると、ごくごく普通の会話のようで、実は私が「聞きたいことだけを聞」いていたことが分かったのではないでしょうか。
手間なく無理なく必要事項を最短で聞き出す――、これこそ敏腕オペレーターのヒアリングテクニックです!
今回のエアコン不具合について
というわけで、今回の入居者様からの不具合報告は、業者手配を行わず電話のみで解決できました。時間にして約7分。もし業者を手配していたらと思うとゾッとしますね!
入居者様と業者のスケジュールを調整して、実際に業者が訪問して、それだけで数日かかるかもしれないのに、訪問の結果として電源リセットで復旧してしまったら、メーカー出張費用として3000円前後の請求まで発生。
しかも、今回のケースですと入居者様の過失とみなされ費用は入居者様に請求されますから、そのあと「払う」「払わない」のすったもんだも起こりかねません。ああ恐ろしい。
だからこそ、まずは状況確認とトラブルシューティング。
電話での詳細なヒアリングがたいへん重要なのです。
専門知識を持つ必要はない、症状さえ的確にヒアリングできればそれで良し
私たちは管理会社であって技術者ではありません。ですので、全ての設備不具合に精通し、専門知識を持っている必要はありません。とはいえ、できる限りの情報を得て、必要な業者に引き継ぐことまでは、オーナーから建物を預かる立場として責任があります。
ちなみに、私は新人の頃、わからないことがあるとメーカーに問い合わせをしていました。ヒアリングのその先の判断に迷う場合は、メーカーに聞いてみるのも手です。ここで得た知識が今では財産となっています。
ヒアリングをしやすくする小ワザ
入居者様は不具合が生じて、少なからず不快な気持ちで連絡してきています。そのような状況でお試しいただきたいことがあるときの一言です。
「業者手配を進めるにあたりご協力いただきたいことがあります。業者が訪問した際に、不具合が生じなかった場合や、過失だった場合に入居者様の負担となってしまうのは申し訳ないので、是非ともご協力をお願いします」
この一言が入居者様の協力を促す決定打になります。
実はほとんどの入居者様は、こうした不具合に「当然、無償で対応してもらえる」と思って連絡してきます。費用負担することがあるなんて、まったく想定していないことがほとんどなのです。
だからこそ、「申し訳ない」という一言とともに「入居者様の負担となってしまう可能性がある」ことをきちんと伝えることが大事です。
こちらの想いが伝われば、きっと「それならやってみる」と協力してくれることでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
あらゆる業務に追われる中で入る入居者様からの連絡。ついつい概要だけ聞いてあとは業者に丸投げ、なんてことはありませんか?
その時、3分で構いません。入居者様からの声に耳を傾け、的確な状況の確認に挑戦してみてください。
適切な確認のうえで手配ができれば、トータルの業務時間を短縮することも可能になるはずですよ!
気の利くひとことをうまく活用して、ムダをなくし、入居者様にとっても気持ちのよい賃貸生活を提供していきましょう。
SYSTEM
案件確認システムのご紹介
プロコール24では、対応報告書のダウンロードや
クレーム進捗管理、各種計数の把握等が可能な
独自の入電管理システムをご用意しております。
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