入居者へのヒアリングミスは「文章」の意識で解決できるかも? やっぱり基本の5W1Hって大切です!
知ってるつもり、分かったつもり…、「つもり」に頼る危険性
みなさまごきげんよう、プロコール24オペレーターのA子です。
さて、前回のコラムでは駐車場の例をもとに、自分と相手(入居者)との認識をすり合わせることがいかに重要かをお伝えしましたが、今回も引き続き認識のすり合わせに関するお話を。
特にこのコラムでは「思い込みの危険性」についてお話ししたいと思います。
なぜって、先日、友人とこんなやりとりをしてしまったからです。
友人(30代)「(キラキラした顔)色々あった2020年だけど、思い出といえば、この夏、生まれて初めてBBQやったんだよ」
A子「生まれて初めて?! そりゃすごい。よかったね。楽しかった?」
友人(30代)「もうね、外で肉! 酒! 最高だよ。次はね、グランピング! やってみたいんだよ。知ってる?」
A子「いいんじゃない~! いきなりキャンプだとね、大変だから。グランピングなんてちょうどいいと思う! 次のチャレンジにぴったりだよー」(先輩キャンパーとして完全にウエメセの私)
友人(30代)「あとさ、『 は ん ご う す い <さ> ん 』って知ってる?」
A子「ハハハ! 何言ってるの! 『 は ん ご う す い <は> ん 』でしょ!! まだまだだな~!(笑)」
友人(30代)「(急に真顔)いや、正しいのは飯盒炊爨(はんごうすいさん)なのよ」
A子「いやいや、だから「さ」じゃなくて「は」だよー…って、えっ?」
ググる私、赤くなる頬、まるで冬の夕暮れ、あの日の君。(なんだそりゃ)
なんと飯盒炊「飯」は、近年になって使われ始めた新しい言葉なんですって! 既に多くの人が使っていて意味が通じるから「飯」も認められているけれど、本当に正しくは、飯盒炊「爨」なんです。
…何が恥ずかしかったって、BBQを初体験と聞いて、完全なる先輩面をしてしまったこと。
しかもドヤ顔で指摘したら、間違っているのは自分だったという…、これも思い込みと無意識のラベリングからくるものですネ…トホホ…。
前回のコラムでは、相手と認識を一致させるための最強の武器は言葉だ、とお話ししましたが、「一致させる前に思い込み(早合点)をしてしまっては間違いを正せない」ということも忘れてはなりません。
今回は、恥を忍んで、私が新人時代に実際にしでかした「思い込み」によるミスを事例に話を進めていきたいと思います。
過去の私の失敗に学ぶ、正しい状況把握の重要性
(1)それ専有部~!!!! ~正確な状況の把握~
「305号室なんですけど、廊下の電気が切れたので、交換してください!」
「では、こちらで対応しておきます。(305号室前の共用廊下っと。メモメモ)」
私はすぐに業者を手配。しかし数時間後、業者からの報告が入りました。
「305号室前の共用廊下の電球、確認しましたけど切れてませんでしたよ。タイマーも問題なく稼働しています。すみませんが出張料3,000円いただきますね。」
(エエエエエエエエエエエエエエエエエ!)
いったいどういうことでしょう! 廊下の電気が切れたのではなかったの?
私はすぐに入居者様に連絡しました。
「あ、電気って、外じゃなくて私の部屋ですよ? 私の部屋の廊下の照明です」
「(…チーン。)そうでしたか。恐れ入りますが、室内照明は消耗品のため、入居者様自身での交換となります。家電店等で電球をお買い求めください」
…はい。
まぁ、これはあまりにも先走っちゃっていますが…、若かったなあ過去の私よ…。
しかし普段新人さんを教育していると、この「わかったつもり」の思い込みでヒアリングが終わってしまうことが多々あります。実際にそれが正しいことが大半ではあるのですが、でもでも、間違っている可能性もゼロではない以上、私たちは「言葉」を使って確実な状況を捉えるべきです。
そう、念のため。相手はしつこいと思うかもしれませんが、それでも「念のため」の精神で最終確認を行ないます。
「廊下ですね。念のため確認ですが、それはご入居されている305号室前の廊下…、共用廊下の照明ということでよろしいですか?」
訪ねること自体は難しくないですよね。
自分で思い描いている情景、をその通り言葉にして説明すれば、認識のすり合わせは完了します。
その最後の確認さえできてしまえば、過去の私も「昨日から、305号室の室内の、玄関入ってすぐの廊下の、天井のダウンライトが点かなくなった(=共用廊下の共用灯ではない)」と、正しい状況把握ができたはずなのです。
(2)それ大げさ~! ~何かと比較して、実物を可能な限り捉える~
「(興奮気味で)今ね、家にいたら、すっごくおっきなドーンていう音がして! 家がちょっと揺れて!! 外に出たら、家の門の大きな丸いところが、割れているんです!! たぶん、トラックとかがぶつかったんだと思います!!!」
相手の興奮ってうつるものなんですよね。
このときの私もそう! ヤバイ、それって門とか塀とかグッチャグチャのやつじゃん!
「報告ありがとうございます! 現地確認します!」
私はすぐに巡回担当者に状況を報告しました。フットワークの軽い担当者は、すぐに現地に向かってくれることになりました。
「オーナーの大切な財産は、俺が守る!!!」(言ってない)
その後、担当者から報告が入りました。
「うーん…、門のところ、確かに車が当たったみたいになってるけど、車体をこすっただけっていうか…」
(エエエエエエエエエエエエエエエエエ!)
門と聞いて、私は立派なアーチのようなものを想像していたのですが、どうやらソレは道路との境界に建てられた肩くらいの高さの円柱だったようで…。
そして担当者さんの報告によれば、ダメージは軽微。
その円柱の上にある、ちびまるこちゃんの永沢君みたいな形のオブジェに、車が当たったような傷があるだけとのことでした。グチャグチャでもなければ、担当者さんを走らせる案件でもなかったという…。
この件、過去の私が言うべきは、きっとこんな言葉だったでしょう。
「門について、わかる範囲で教えてください。門の大きさはだいたいどのくらいでしょうか。例えば、玄関ドアの高さくらい、など、教えてください」
「大きな丸とおっしゃいましたが、その丸は大人の手のひらくらいのサイズですか?」
電球の件と同様、相手の言葉を鵜呑みにしてはいけません。しかし同時に、相手の言っている言葉の意味を正しくとらえることも重要です。
この件では「車がぶつかった」「門が壊れた」などについては真実でしたが、なんというか…、過去のわたしは相手のテンションに押し負けました…(くやしい)。
場に飲み込まれないためには、まず「自分の領域」で物事を認識し直すこと。実体を自分の物差し(あるいは世間の物差し)できちんと計りなおすことが有効です。
そこで、「玄関ドア」や「大人の手のひら」の出番。
玄関ドアは、日本で暮らしていればだいたい200~240センチサイズが主流です。ここで認識が100センチも200センチもずれることはまずないですよね。
大人の手のひらも同様で、こうして「物差し」を使ってものごとを計りなおすと、リアルな状況が見えてきます。そうすると、ね、ほら! イメージも湧くし、誤解釈もありませんよね!
これって実は他にも応用がきくんですけど、何かを聞きたい時に、「物差し」をそっと差し出してあげるといいですよ。
相手も「どう説明したものやら…」と困っていたりするものです。そこに「回答例」を用意してあげると、スムーズなキャッチボールが始まりますよ!
作った文章と自分の認識、ギャップがないかでセルフチェック
さて、(1)、(2)と事例(私的には事件)を見てきましたが、実はこれらの問題、もっとシンプルに考えると、思い込み回避の方法を一言で言えてしまいます。
それはずばり、「文章にしてもきちんと相手に伝わるか」です。
たとえば(1)の事例、実際にメールで業者さんに修理を依頼するとしたら、どんな文面になるでしょう?
私が電話で聞いた情報はこれだけです。
「305号室の廊下の電球交換をお願いします」
入居者さんは「共用廊下」とは言っていません。あくまで「305号室の廊下」です。なので文面だけ見れば、むしろ「自室内なので自分で交換ですよ」と言えてしまう内容です。
にもかかわらず、私はこの件を「共用廊下だ」と考えています。頭のなかで文章を組み立てられていれば、この差について「あれ? おかしいな?」と気が付くのではないでしょうか。
そして入居者さんにこう訊けているいるはずです。
「すみません、廊下とおっしゃいましたが、それは室内の廊下ですか? 共用廊下ですか?」
そして、(2)の事例。
門の被害状況について、私は完全に相手の興奮に巻き込まれていました。しかし、感情という情報を排除してメールを書くとしたら、どうなっていたでしょう?
私の聞き出した情報では、
「どうやら○×マンションの門に車が衝突したようです。そのため、門の一部の丸くなっている箇所に傷がついたみたいです」
はっきり確認していない故に、内容がぼやっとしか伝えられません。
門ってどこ? 丸いところ? 傷の程度は?
これではすぐに動くべきか、そうでないのか、相手も判断できませんよね。
文字ですべてを伝えるのは大変です。だって、文章には感情を乗せることができないんですもん。
脳内の映像を添えられればいいんでしょうが、2021年の科学技術でそれは無理。
しかしそれでも、修繕を進めるのであればそれを伝えなければなりません、だってそれが管理会社のオシゴトだもん!
なればこそ、文章だけで伝えるための「材料」を、ちゃんと仕入れましょう。
どうやって?
それは、とてもありきたりだけど大切な、報告の基本「5W1H」!
いつ(WHEN)どこで(WHERE)なにが(WHAT)どうなっているのか(HOW)を聞いてみてください。そして、なぜ(WHY)そうなったのか、誰(WHO)が困っているのか? どんどん掘り下げてみてください。
そうすると、相手に伝えるための材料が手に入ります。
当社プロコール24では、クレーム発生~完了までの経緯を残した「対応報告書」を作成しています。そういったこともあって、いかに文字だけで相手に正確に伝えるか、を日々意識しています。
もし、入居者様やオーナー様とのやり取りで、「なんだか勘違いや誤解が多いな…」なんて思うことがあれば、まずは伝えたいことや状況を文章化してみてください。
文章化するときに足りない情報に気づいたら、そこは確認する・調べるで補う!
はじめは、もしかしたら何度も聞き直さなければいけないかもしれませんが、これを繰り返していけば、きっと報告も正確になり、要点もつかめて、仕事の能率も高まるはずですよ!!
この機会にぜひ、プロコール流のヒアリング術を試してみてください!
それでは、絶賛平日禁酒中!のA子でしたー。(バーベキュー行きたい!)
SYSTEM
案件確認システムのご紹介
プロコール24では、対応報告書のダウンロードや
クレーム進捗管理、各種計数の把握等が可能な
独自の入電管理システムをご用意しております。
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